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「幼児教育の経済学」を読んで、幼児期の教育の大切さが分かった

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子育てのハウツー本ではない。
読むことで育児の負担が軽減したり心が軽やかになる本でもない。

最近、よく目にする【幼児期の親の所得に子どもの学力が比例する】事例が気になる人は是非。

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幼児教育の必要性

舞台は、アメリカ。
ノーベル経済学賞を受賞した筆者が、経済学のフィールドから見た幼児教育の必要性を説く。
具体例や試験的に行われたプログラムの内容と被験者である子どもたちのその後などが記される。
内容は、パートⅠ~Ⅲに分かれている。

二つのスキル

まずは、パートⅠ。
この本によく出てくるキーワードは、「認知的スキル」「非認知的スキル」
前者は、IQ検査や学力テストで計測される学力スキル(ハード)。
後者は、肉体的・精神的健康、根気強さ、注意深さ、意欲、自信といった社会的・情動的スキル(ソフト)。
認知的スキルの優劣が目立ってしまいがちだが、じつは非認知的スキルがその子の社会的成功に貢献し、学力テストの成績にも影響を与えているという。

「認知的スキル」も「非認知的スキル」も、幼少期に発達し、その発達は家庭環境に影響される。

子どもが18歳の時点での認知的到達度、すなわち大学へ進学するかどうかの強力な予測因子を母親の学歴別にまとめたところ、子どもが小学校へ入学する6歳の時点ですでに格差が明白だった。

認知的スキルが同程度でも、非認知的スキルが低い人は高い人と比べて、離職率や離婚率が上がる。
また、最底辺の一割を見ると、認知力を向上させるよりも非認知能力を向上させる方が投獄される率を低下させる。

他には、簡単にまとめると、
成人後の介入(職業訓練プログラムなど)より、幼児期の介入の方が社会全体で見た場合、収益率が高い。
成人後に認知的スキルを上げることが出来ても、非認知的スキルの向上は成果が出にくい

ということで、いち主婦が思うに、
人材育成や税金の支出を減らそうと考える時、貧困・虐待などの因子によって幼児の非認知的スキルに格差が生まれるのは国家的に将来のデメリットになるので、親の力が不十分な家庭に対して子どもの幼児期に国が介入し、非認知的スキルの向上、それに伴う認知的スキルも向上を目指すと、社会的に成功する成人が増え、生活保護受給や投獄される率が減るのでwin-win。ってことかな?

アメリカはディスカッション大国ですわな

パートⅠで得たことは「幼児期に認知的スキル、(特に)非認知的スキルを獲得させるように意識することの重要性」。
そこで安堵していると、書籍の中盤から始まる「パートⅡ:各分野の専門家によるコメント」を読んで愕然とする。

複数のコメントは筆者ヘックマンの論文におおまかに同意するとの前置きの後に、
・幼児期の教育的介入に否定的な報告もある
・論文で挙げられたプロジェクトの成果は小さい
・母親による子育てばかり取り上げるのは奇妙だ
・介入を拡大することに対する抵抗が政治的右派から起こる可能性がある
・中流階級の子育てが全てというわけではない、労働者階級の家族の方が絆が強いし子供の自立心も強い
などなど、反論異論がわんさか出てくる。

あれれ、新たな知識として吸収させていたパートⅠが、グラグラと揺らいできたよ…!?
国(アメリカ)の事を考えて皆さん議論されてるのだけど、日本のいち主婦からしたら、置いていかれた感がハンパない…。

そしてパートⅢでは再びヘックマンが各氏のコメントを踏まえた上で語る。

日本人が気になるのはココでしょ

日本人読者には、その後の「解説:就学前教育の重要性と日本における本書の意義」が一番有意義だったりする。

親の所得と子供の学力の関係が就学前から存在するというのはアメリカだけで見られるのではないかと思われる可能性がある。
実は日本でも研究が既に行われている(P.121)

上記の引用部分から始まる内容には驚く。

2010年に発表された日本国内に関する論文が紹介されている。
所得階級別に行った、中学校・小学校高学年・小学校低学年の学力テストの結果が…!!
…なんとも(涙)

今後益々、就学前教育の必要性が説かれるのではないか?
(日本では早期教育に対する抵抗はあまりなく、実施している家庭も多いので、あえて鍛えるべきは「非認知的スキル」だろう)
社会保障、財政、ひいては国力の増減に深く関わる問題ではないかと思う。

どのような家庭環境の子どもでも平等に受けることの出来る「幼児期の教育的介入」をすることで、将来の国の負担が減るのでは…と思った。
一部の悪い保護者が搾取する恐れが否めない「児童手当」で現金を渡すよりも意義があるんじゃないかと。

国が動くまで時間がかかりそうだから、今子育てしている世代は、介入を待っていても遅いかも。
なんとかならないものか…。

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