国立科学博物館(東京 上野公園)で開催中の「世界遺産ラスコー展」へ行ってきました。
会期中 最初の日曜日でしたが、そこまで混んでいなくてゆっくり観られました。
人類の進化が好きな小1の長女は、音声ガイドを借りてじっくり2時間弱の滞在。
おしゃれで芸術的なクロマニョン人の情熱に、遥か2万年前の人とは思えない親近感が湧きます。
この記事では、ラスコー展の見どころや参加したワークショップの内容などが分かります。
目次
見どころ
・現在は研究者ですら入ることの出来ないラスコー洞窟、1mm以下の精度で復元された実物大壁画。
・洞窟に残されていた画材・道具・ランプなどの展示(世界初公開を含む)
・壁画に隠された技術を現代のテクノロジーで解き明かす映像シアター
・ディスプレイを用いた「触って学ぶ解説ブース」が多く、理解を得やすい
↑これは、私の個人的なおすすめポイントです。
公式の「見どころ」は、
2:芸術のはじまりを知る!
3:クロマニョン人の正体を解き明かす!
と、なっています。
子どもも楽しめる工夫
こどもパネル
会場のいたる所に、「こどもパネル」という子ども向けの解説が掲げられています。
壁画の「トリ人間」のキャラが使われていて面白い。
長女も見つけては読んでいました。
音声ガイド
ガイドは「子供向け」ではありませんし、利用しているのはほとんどが大人です。
(客層も中高年が多く、子ども連れはごく僅か)
でも、小学生低学年では解説の文字を読むより、難しい単語があっても音声で聞く方が「なんとなく」の雰囲気で意味を感じ取りやすいようです。
長女も、聞いた情報を私に教えてくれたり、音声ガイドだけに出てくるクイズを楽しんでいました。
有料:530円
展示
洞窟の模型
最初、これが何なのか分かりませんでした。
↓写真上部のモリっとしたもの。
これ、洞窟の模型だったのです。
横から見ると、こうなってます。↓
ラスコー洞窟の内側の形を復元していたんですね。
外の形は意味がないです。
私、外側ばかり見ていたよ…鈍感すぎる(笑)
ここで「身廊」と「井戸状の空間」をじっくり確認しておくと、次の展示、実物大壁画で感動が深まります。
実物大壁画
仄暗い灯りの中、どーんと壁画が待ち構えています。
思っていたよりデカい!!
しばらく待つと、照明が落ち、真っ暗。
すると、「線刻」が青くライトアップされて浮かび上がり、幻想的ー!!
スマホのカメラじゃ、感動が微塵も伝わらないー!!
トリ人間の壁画の手前に腰掛けられる場所があったので、しばらく座って洞窟内の雰囲気を楽しみました。
壁画研究
クロマニョン人が描いた動物の大きさが分かる。
凶悪な大きさだ。
ラスコー洞窟内部では、線刻に用いた彫器とともに、石や角で作った狩猟具が沢山見つかった。
生活の場ではない洞窟に、狩猟具。
関係のない道具がなぜそこにあったかというと、ホラアナグマやホラアナライオン等の肉食動物から身を守る護身用として持ちこまれたと考えられている。
(儀式で使うとの一説も)
クロマニョン人たちは、危険を承知の上で洞窟内に絵を描いていた…!
また、真っ暗闇の洞窟内で絵を描く為には灯りが必要。
石製のランプの獣脂に火を灯し、火が消えないように燃料を補給することが大切だ。
描く人の近くで鉱石由来の顔料を磨り潰し、絵の具を供給する役割の人もいたのだろう。
ラスコー洞窟内では複数のクロマニョン人の共同作業で絵が描かれていったのだろう、と、締めくくるシアターの映像がとても興味深く、大勢の人が足を止めて魅入っていた。
入れ替え時にすぐに席が埋まる。
私と長女も立ち見から着席するまで少し待った。
そのシアターと、シアター周辺に設置されたディスプレイを用いた触れて学べる解説機では、壁画に施された芸術的なテクニックや、ひとかたまりの絵の中でも違う年代に描かれたものが混在していることや、カラフルな四角形の記号の謎(ラスコー洞窟内のその記号だけに紫色が使われている!)など、得られる情報が面白く、私の中では最高潮なブースでした。
で。このディスプレイを触って学ぶ解説で、ラスコー最大の謎と言われる「井戸の場面」の「トリ人間」の説明を長女に読んでいたら、「細長い4本の手足と男性器」の部分で「男性器って何?」と尋ねられた。
そ、そうですよね…分かりませんよね…
「はい、これね、お〇〇〇んね」
指さして解説したわい(汗)
長女は小学生低学年の下ネタ大好きテンションでキャホーイ!と喜ぶし。
恥ずかしかったわー。
次の人、後ろで順番待ってるんだもん。絶対聞こえてるわ。
中心のひょろ長いのがトリ人間です。
例の部分が屹立してますね(;^ω^)
どういう意味なんだろう…↓
クロマニョン人を知る
この「世界遺産ラスコー展」は、世界中を巡回し、すでに100万人の来場者を超えている。
そんな中、「第6章」は日本限定の展示とのこと。(会場MAPによる)
↑実際の頭骨からの生体復元。
左、クロマニョン人(3万年前)。右、ネアンデルタール人(6万年前)。
クロマニョン人、カッコよすぎるやろー。
おされなズボン履いてるし。
簡素な武器で巨大生物と戦うワイルドなネアンデルタール人が好きな長女だが、クロマニョン人の男前フェイスにかなり心が揺れたらしい(笑)
↑実際に見つかっている化石骨をもとに復元されたクロマニョン人。
頭飾りやブレスレット、高度な裁縫技術を用いた衣服や毛皮。
ネアンデルタール人の文化では見られない狩猟具。
現代人と変わらない顔形。
展覧会の存在を知った時、長女に「クロマニョン人って原人?猿人?」と訊いたら、(私の知識はそんな程度)
公式サイトを見た長女に、
「この顔見てよ!ホモ・サピエンスに決まってるでしょ」と怒られたのだった(笑)
展示で当時の文化を垣間見て、クロマニョン人がより一層身近に感じられた。
気になった点
撮影不可の立て札はあるけれど、混んでいると人の壁で立て札が目に入りにくい?
また、同じ空間に撮影可能な展示も混在していることから、分かりにくい?
不可の展示ケースの全てに「カメラダメよマーク」を張るなど分かりやすくした方がいいのかも。
私は小心者なので、ブースごとに巡回のスタッフさんに撮影OKか確認取ってから撮ってますw
巡回スケジュール
国立科学博物館
2016年11月1日(火)~2017年2月19日(日)
東北歴史博物館(宮城県)
2017年3月25日(土)~5月28日(日)
九州国立博物館(福岡県)
2017年7月11日(火)~9月3日(日)
クリスマスからお正月にかけて、来場者プレゼントがありますよ♪
詳細は公式サイトへ
ワークショップ
抽選に当たり、「壁画制作を体験しよう!」に参加しました。
(11月6日のみの開催)
クロマニョン人になりきり、仄暗い灯りの中、洞窟の壁面のようなデコボコのプレートに動物の絵を描く体験です。
説明の後、実習室(地球館3階)を出た目の前にある動物たちの剥製の展示を鑑賞し、描く動物を決める時間がありました。
長女はノロという小型の可愛いシカ科、私はセーブルアンテロープという巨大な角のあるウシ科の動物に決め、10分ほど見つめていたのだけど、部屋に戻り、限られた照明の中で描くとなると、すでに記憶があやふや(笑)
自分の不甲斐なさを感じつつ、「クロマニョン人って絵上手いよな…よく覚えて描いてるよな…」と、恐れ入った。
この日、超早起きをして、朝からラスコー展とコンパスをMAXに楽しんだ長女は、眠さから集中力が切れ、絵が描けずに放心状態で筆が進まなかった。
でも途中から眠気がふっとび、私が描いておいた下絵の色塗り作業から復活した。
自分で描けなくて残念そうだったけど、色塗りを楽しんでいた。
スタンプのようにポンポンと着色する方法は、ラスコー壁画でも用いられた手法の一つ。
完成。
部屋の灯りがついて通常の明るさに戻ると、塗ったつもりだったのに色が塗れていない部分があったり、想像していた色合いと違っていたりして、意外で面白かった。
ひょっとして、クロマニョン人も自分の描いた壁画を明るい場所で見たら、「なんてこった」と言うかもね(笑)
その後、壁掛け用の紐を作り、参加者全員の作品を並べて鑑賞。
色鮮やかで発色の良いポップな作品や、擦れた線画の躍動感が渋い作品、子ども独自の可愛らしい世界観の作品など、ここでも芸術鑑賞が出来て楽しかった。
ここからが、本ワークショップの醍醐味。
照明を消し、ブラックライトで照らすと…!!
動物たちが光って浮かび上がる!!
子どもたち、大人たちの歓声が上がる。
作品は、お持ち帰りして、自宅に飾っています。
楽しい時間をありがとうございました。
まとめ
・謎が多い壁画やクロマニョン人について想いを馳せるとワクワクする
・ラスコー展のチケットの半券で、常設展も観られる。(かはくの場合※)
※「入場前の企画展のチケット」で「コンパスの整理券」を取ることも可能!
詳細は、下記の黄色で囲んだリンク先の記事に追記しました。
長女の食いつきが良かったので、興味の有無に拘らず、色んなジャンルの展覧会に出かけようと思ったむーち(@mu_chiblog)でした。
参考文献:「世界遺産ラスコー展」図録