「人に迷惑をかけない子に」
「どこに出しても恥ずかしくない子に」
「しつけをしなければ」
普通の親なら、大なり小なり気を遣っていることだと思う。
しかし、その思いが強く子どもに口酸っぱく言えば言うほど、その結果は逆のものになるという。
子供の寝顔を見て「叱り過ぎちゃったなぁ」と思ったことのある人は、必読!
表面的でなく、本質を掘り下げる
今まで子育て本を何冊か読んできた。
何も考えず「叱ることが良くない」のは結構書かれること。
そしてその対策は、
「『ダメ』で包括するのではなく具体的な指摘を」や「アイメッセージ(お母さんは○○して欲しいな)で伝える」など。
それを理解して実践するようになったけど、な~んか息苦しかった。
例えば、アイメッセージしても完全拒否で聞く耳持たずという反応の方が多い。
段々ヒートアップしてしまい、忘れて感情のままに怒ってしまう日もある。
失敗→反省。
いつも「こうしなきゃ!」「『ダメ』はダメ!」とか頭の中に渦巻いていて、すっきりしない。
頭では分かっていても消化しきっておらず、良い保護者にならなければという焦燥感と矯正感に縛られる。
叱ってしまう本質を知らないまま、表面的に「叱っちゃだめ」「『○○』と言わなければ」と思っていても付け焼刃だ。
それが、この本を読んで、妙に腑に落ちた。
「なんだ、だから叱ってしまうのか。なるほど。それはアカンな」と。
そして、矯正感を感じることなく、自主的に変わろうと思った。
それは、以下の部分による。
常日頃から「○○していない」「○○しなきゃダメ」などの感情的な否定的な言葉を使うのが当たり前になっている。
↓
親は、周りの大人(いわゆる他人)、自分の子ども以外の家族にはそのような口調では話さない。
そのように話すと、自分に何が返ってくるのか自覚しているから相手を尊重する。
では、自分の子どもに手をあげたり否定的な言葉を使ってしまうのはなぜか?
↓
親だから許されると無意識のうちに思っている。親という立場に甘えている。
タイトルに矛盾を感じる
個人的に、タイトルの「『ダメ!』を言わなければ子どもは伸びる」は、【親という立場に甘えんじゃねー!!子供は一人の人間だ、尊重しろ!】という筆者からの愛のムチなのだと理解している。
終始、この本の根底に流れていることはコレだと思う。
(少なくとも私はそう感じ取った)
そんな荒っぽいタイトルだと筆者の品位を問われて炎上しかねないし売れないから、お上品な言葉に収まっているんだろうけど。
実際、読了してからこのタイトルを見ると、矛盾しているように感じる。
『言わなければ子供は伸びる』って?
ん?「親が」「伸ばそう」とするの?
【子供は一人の人間だ、尊重しろ!】なんだから、『伸ばそう』というのはおこがましいよね…、と。
なぜ本書が身に染みるのか
筆者は小学校教師歴23年というベテランの先生。
沢山の親子を見てきた立場から書かれているので、問題がある親子の例が具体的だし、親子が良い方向に変わった例も読める。
また、学校での生徒とのやりとりなど、親は知ることが出来ない子ども達の一面が鮮明に記されている。
「うわー、(親から)こんなん言われたら、そりゃ嫌になるわな~」
とか、
「そうか、子どもはそう思うのか」と、目からウロコだった。
また、文章が易しく読みやすいのでグイグイ読み進められる。
難しく考えることなく、書かれている内容がすんなり頭に入ってくる。
こんな先生の国語の授業を受けられたら幸せだな~。
この本で分かること
・「ダメ!」が与える、子どもへの悪影響
・子どもの本質(親は無理を言い過ぎている)
・共感、尊重された子どもはどうなるか
・「ダメ!」を使わない、子どもとのコミュニケーション方法
・親のストレス軽減や子育て環境を改善する工夫
身に染みた箇所のまとめ
子どもを一人の人間として尊重してください。
立派な大人に対するのと同じように尊厳をもって対してください。
子ども本人のあずかり知らぬところで、その子のあるべき姿が決められているわけです。
(中略)
親は自分の欲や願いに基づくあるべきイメージを子どもに求めます。
↓
ギャップが生まれる
↓
否定語で叱り続ける
↓
子供の自己肯定感が育たず、心が不安で落ち着かなくなる。
がんばる気持ちになれない。
↓
ギャップが広がる(以下略)
「今のありのままのあなたでいいんだよ」
目をつむれない親は必ず子どもを傷つけることになる
大人のほとんどは自分のことには目をつむっている
自分に目をつむるように、子どもにも目をつむってあげてください。
ありのままの子どもを丸ごと受け入れて許してあげてください。
そして、安らかな気持ちで生活できるようにしてあげてください。
これが子ども時代で一番大切なことなのです。
追記:
以前の記事(小言をやめ、子供に時間管理させたら 親子喧嘩が減った)の『小言をやめる』というのが、【目をつむる】ことなのだと共感した。
先日決めたことが間違っていないのだと、背中を押してもらえた。